日本演奏家コンクール ベヒシュタイン賞

第22回日本演奏家コンクール
ベヒシュタイン賞受賞者によるコンサート

2021/8/9(月・祝日) 16:00開演
東京芸術センター 天空劇場


<ピアノコンチェルト演奏のすすめ――べヒシュタイン賞として>

2020.6.1改訂21.4.1 ファイル「コレポン音楽団体」→「日演協」
(株)ベヒシュタイン・ジャパン 代表取締役 戸塚 亮一

やや堅苦しい話から始まって恐縮です。
ドイツ語に“ムジツィーレン”(musizieren)という言葉があります。
辞書によると、「音楽を奏する」とあります。本来の意味は「(何人か一緒に)音楽を演奏する」です。私は、ドイツに長く住んでいましたから、この“ムジツィーレン”という言葉をよく耳にしました。つまり音楽の重要な要素として「一緒に音楽をする」ことに根源的な楽しみがある、ということです。
さて、日本の音楽にかかわる環境を見るとき、「一緒に」という単語が重要視されていないようです。つまり、ソロのヴィルトーゾ的演奏がもてはやされ、各種のコンクールもソロ演奏で、大きな国際コンクールになると本選の最後に、ピアノコンチェルトや、ヴァイオリンコンチェルトが演奏されます。
又は優勝者にコンチェルトの演奏機会が提供されます。プロを目指す方でなくても、まだ子供さんでも「アンサンブル」は楽しい音楽の本質でもありますから、プロになる前からまずこの根源的な、「一緒に音楽をする」という楽しみを体験していなければなりません。この根源的楽しみを育てることにあまり熱心でないところが、音楽大学と称するところです。だからと言って、小中学生の初心者の教室でも楽しみを教える先生はまだ少ないと思われます。
最近では、日本のアマチュア音楽愛好家の中から、本当にへたくそでも「一緒に音楽をする」という楽しみに気が付いてアンサンブルを楽しむグループが出ています。彼らは、とても人に聴かせるレベルではないのですが、一緒に合わせる楽しみのために、一生懸命練習をします。

このような日本の状況の下で、本来の音楽をする世界をとり戻すには、どう改革ができるかを考えたとき、プロになる前の優れた小中高生に、アンサンブルの機会を提供することに意義がある、と考えました。
ピアノ曲の中には、アンサンブル・オーケストラの楽器編成を想定して作曲されたもの、逆にリストのようにピアノの発達に伴い、アンサンブル、声楽の曲をピアノ曲に編曲してみたり、ピアノ以外の楽器の音を想定したピアノ曲もたくさんあります。つまり、ピアノを弾く際でも、それぞれの音域でどの楽器がなっているのか、考える必要も出てくるし、その楽器の音をピアノで工夫、再現してみることも楽しいことです。管楽器と弦楽器では音の持続時間が異なります。ピアノを弾くときもタッチによって音色の変化も考えながら弾く、という勉強・練習もまた楽しいことです。管弦楽器奏者が自分の楽器にこだわるように、ピアノについても普段どのブランド(メーカー)のピアノが優れているか、ということにも注意を払っていただきたいと思います。
まず、ピアノの先生が考えなければなりません。
更に、メーカー毎にどういうピアノを作りたいか、“設計上の音楽的発想”を知る必要があります。有名ブランドを妄信する先生方、ピアニストの方には知る由もありません。各ピアノの音楽的意味を自分の耳とタッチで確かめることになります。この訓練は、将来大ピアニストになろうというとき役立ちます。

“ムジツィーレン”の中でピアニストにとって、最大の醍醐味は、ピアノコンチェルトの演奏でしょう。そこで、今回、小中高生の段階で「ベヒシュタイン賞」と銘打って、「賞金」の代わりにこの「賞」つまり、コンチェルト演奏の機会を提供することといたしました。プロのピアニストになるならないは別として、音楽人生のなかで、最も有意義な体験となることでしょう。

このコンチェルトもコロナ終息に伴い、今年は実施できそうです。

近い将来、ピアノを趣味として続けておられる方にも、“musizieren”つまり、ピアノコンチェルトを演奏するという機会を提供したいと考えております。詳細はお問い合わせください。要項はただいま作成中です。 
では、出演される小、中、高校生の皆様のより充実した音楽体験となりますようお祈りいたしております。(戸塚記)